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校長より生徒の皆さんへ その28       趣味に込めた思い

北海道函館に眼科を開院している方がいらっしゃいます。
彼が若い頃、東京大学医学部に眼科医局員として入局する際に、
同じく開業医をしていた父が、息子をよろしく、という意味を込めて、
予め医局に手紙を送っていたそうです。
そこには、自分の子どもを謙遜して使う愚息と同意の言葉、豚児が使われていたので、
仲間は親しみを込めて、豚児来る、と黒板に書き、
温かく迎え入れてくれたそうです。あだ名はトンジになりました。
紹介を受けて結婚をされた相手の方が、そのあだ名にちなんで、
最初のプレゼントとしてブロンズ製の豚を模った貯金箱をお贈りになり、
それがきっかけとなって、豚に関するコレクションを始めます。
イギリスでは、紳士の国らしくネクタイを締めた置物、
オランダでは素朴な麦わら細工、スペインでは革製の作品、
イタリアではベネチアングラス製のものを購入するなど、
今では1万を超えるまでになりました。
しみじみと眺めてみると、それぞれに味がある、というのですから、
趣味がもたらす幸福感は大きなものです。
でも、これだけ多くのコレクションになっても最も大切にしているもの、
それは、お亡くなりになった奥様から、最初にいただいた貯金箱
だそうです。