校長より生徒の皆さんへ その21 長 考
将棋の十五世名人大山康晴氏が、対戦中に長考をするのはどんなときか、と問われた際に、うまくいきすぎているとき、と答えています。
守りの大山とも称される彼は、物事とはそれほどうまくいくわけもないのに、順調に事が進んでいるときにはどこかに落とし穴がある、と、常に警戒していたようです。
そして、誰にでも山と谷があり、山は高ければ高いほど良いけれど、谷の深いのは最も避けなければいけないので、谷をできるだけ浅くするよう、予め様々な手立てを考えている、とも話しています。
一方で、一瞬のうちに、現在、過去、未来が頭をよぎるのだそうです。
プロ棋士の頭の中には、かつての名人の棋譜が記憶されており、現在の局面を眺め、過去の棋譜から類推して未来を読むのだそうです。
一見穏やかにも見える盤上には、現在、過去、未来が混在する状態になっているんですね。
盤上では、まさに人生模様が展開されているとも言えます。